チ。地球の運動について 魚豊 6巻

5巻から25年を経た。

世界としては、C教正統派の権威がだいぶ落ちてきて、異端派解放戦線があちこちでテロ活動のようなことをしているよう。

4巻の最後に一番タチの悪かったアントニ神父がまた登場。5巻では助任司祭だったが、ノヴァクを追放して位は上がったのだろうか。

 

新たに賢そうな女の子、ドュラカが登場、資本主義を唱える。そして神の存在は信じない。

こちらも新たに登場した異端派解放戦線のシュミットも聖書は信じないという立場だったので、神を信じないのかと思ったが、神は存在する、が神の創った自然を崇拝するだけで、宗教は論理的だからこそ嫌い、神の動機など人間の知性でわかるはずないという立場。

 

アントニ神父も、シュミットも、本を追い求め、たまたま本を持ったデュラカもまたその流れにかかわっていく。オクジーとバデーニも本人は死んだが、名前としては語り継がれているようで、何となくよかった。

5巻の最後のクラボフスキさんは、やはり25年もたったので登場してこないが、この本が存在するということは、頑張ってホームレスの人たちの入れ墨からオクジーさんの本の内容を復元したんだろう。実際の考え方や資料は残せなくても情熱、感動を、後世の人に託せば世の中は変えられる可能性がある。その信念の流れが見れた。

 

最後、やっぱり生きてたヨレンタさん。だからシュミットも、オクジー、バデーニの名前を知ってたのか。これからうまく予定がすすめばいいなと思うが、シュミットとデュラカも考え方が違うようで、またひと悶着ありそうな感じ。

 

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